義民、佐倉惣五郎ゆかりの舟ざる蕎麦 宗吾参道「甚兵衛そば」

エリア&駅 千葉県 成田市 宗吾 
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今年もあっという間に師走となりました。年末年始のあれこれに考えを巡らせる頃合いですね。

私も先日、今年の年越し蕎麦や初詣のことを考えていたところ、ふと子どもの頃によく初詣へ行ったお寺とそのすぐ側のおいしい蕎麦屋のことを懐かしく思い起こし、久しぶりに行ってきました。

成田市宗吾にある「宗吾霊堂(そうごれいどう)」の呼び名で知られる「鳴鐘山東勝寺宗吾霊堂」の正門の斜向かいに長年お店を構える蕎麦屋「甚兵衛そば(じんべえそば)」です。

現在30代の私が子どもの頃には既に地元の人気店で、祖父母と宗吾霊堂へ参拝した帰りに幾度となく立ち寄った思い出があります。

義民佐倉惣五郎を祀る宗吾霊堂

佐倉惣五郎というのは、徳川家光将軍の時代に佐倉藩の公津村(現在の成田市公津)の名主総代だったお方です。

その昔、藩からの重税にあえぐ市民のため、惣五郎様が直訴を行って年貢の軽減を嘆願し、そのお陰で多くの藩の人々が飢えから救われたと伝えられています。しかし、当時直訴は大罪のため、惣五郎様は妻子とともに処刑されてしまい、のちにその御霊を祀るお堂が建ったという悲しい伝説があります。

ちなみに佐倉藩の話ということで、今の地名に慣れた私たちとしては少し意外ですが、宗吾霊堂も惣五郎様の旧宅も成田市内にあります。

店名になっている「甚兵衛」というのは、この義民伝の中で、自分も罪に問われるにも関わらず藩の言い付けに背いて惣五郎様のために舟を出し、のちに自決したとされる印旛沼の渡し守の名前に由来しているそうです。

バスの本数は少ないものの交通手段が多いのはうれしい

アクセスしやすいことに、千葉交通宗吾霊堂線、および成田市コミュニティバス北須賀ルートのバス亭すぐそば、京成本線宗吾参道駅からなら徒歩10分、車であれば東関東自動車道佐倉・富里インターから20分ほど。

甚兵衛そばの看板は旧字体なので見落とし注意ですが、本当に宗吾霊堂正門から横断歩道を渡ってすぐのため、そちらを目指して行けば間違いないでしょう。店舗横に5台分の専用駐車場があります。

昼時は混むので参拝と併せてタイミングを見計らうのがおすすめ。とはいえ、お蕎麦屋さんということでお客さんの回転は比較的速く、そんなに待たずとも席に通してもらえることがほとんどです。

おいしいお店だからこそお品書きはシンプル

本日頼んだ甚兵衛そば(ざるそば)が一枚490円。その他は温かいおつゆのお蕎麦で、かけそば、玉子とじ、月見、肉そばの4品です。

甚兵衛そば一枚からでももちろん注文できますが、江戸蕎麦の文化にちなんで一枚あたりの蕎麦の量は一人前としてはやや少なめ。男性のお客様で二枚から三枚、男女二人組のお客様で三枚などのご注文が多いそう。

お店に来たらまず、入口近くにあるレジで店員さんから食券を買い、席について別の店員さんがその食券を回収に来てくれるまで待ちます。お店はお客さんが少ない時でも明るく活気があって、店員さんはみなさん優しくベテランな、気っ風のいいお姉さんたちです。

お茶の代わりに蕎麦湯がまず運ばれてきますが、これがまた薫り豊かでおいしいです。

しゃきっと冷たく、コシがあり、喉越し完璧「泣かせる」お蕎麦

運ばれてきてまず目を引くのは珍しい舟の形の器です。これも由来となった船の渡し守、甚兵衛の逸話から。

子どものころはこの舟ざるにのった蕎麦をねだって、参拝を終えるや「おばあちゃん、おふねのおそばやさんにつれてって!」と祖母の手を引っ張ったなぁ。

ところで大人になった私はわさびをおつゆに溶かず蕎麦につける派ですが、みなさんはどうですか?さらに刻み葱はたっぷり蕎麦猪口へ投入して、蕎麦をおつゆに浸けすぎず、ずずっと啜るのがたまりません。

よく冷やされた蕎麦は冷たくみずみずしく、歯を弾かんばかりのコシといい、ツルッとした喉越しといい、飲み込んだあとから感じるその香りといい、蕎麦にゃうるさい粋な江戸っ子が食べてもきっと「泣かせるねェ」と鼻の下を掌でグイと拭うに違いない完璧さです。

かつて世のため人のため命をかけた義民の伝説に、そっと寄りそう「泣かせる」お蕎麦。
ぜひ一度味わってみてください。なお、乾麺のお持ち帰り購入もできますので、こちらは年越し蕎麦を自宅で楽しむ方にもぴったりですね。

甚兵衛そば(じんべえそば)
住所:千葉県成田市宗吾3丁目565−4
アクセス:京成本線宗吾参道駅から徒歩10分
電話:0476-26-2086
営業時間:11:00-16:00 月曜定休

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