「こんな風情のある場所があったなんて・・・」
看板は見かけたことがあったけれど、訪れる機会がなかった「旧佐久間邸」。
ちょうど近くを通ったある日、思い切ってその門をくぐると、なんとも心が落ち着くひとときがそこにはありました。
圧巻!築270年の旧家
旧佐久間邸は、270年以上前に建てられたとされている住宅で、もともとは佐倉下地区で江戸時代から代々栄えていた庄屋だったそうです。
家主の方が福島市に寄贈し、現在は一般に公開していて、誰でも自由に見学したり、中に入って休むこともできます。
また、市民の交流のための施設として、利用料を払って専用利用することもできるので、期間によってはさまざまなイベントが行われています。
中に入ると、きれいに整備されたお庭と、趣がある旧家が出迎えてくれました。
現在の管理は、「株式会社NEOソリューション」という会社で委託されており、常駐する係の方が、住宅の造りや歴史について細かく説明してくださいました。
まるでタイムスリップしたみたい!
広い土間に入ると、今ではあまり見ることのない「いろり」と「かまど」。
写真では少し見えにくいですが、かまどの横には「石うす」もあり、お正月には餅つき会なども行われていたそうです。(現在は新型コロナウイルスの影響もあり、未定)
小さなお子さんは実際に見る機会もないと思うので、貴重な財産ですね。
もちろん通常の調理室も、予約の上料金を払って使用することができます。調理器具や食器も完備!食材の準備だけでいいので楽チンです。
室内は和室が三間続いています。現代の家では、こういった和室が続く間取りは、ほとんど見られなくなってしまいましたが、昔は結婚式や法事などを家で行っていたため、ふすまを外して広く使えるようになっていたのですね。
今でも、こちらの和室を貸し切って、冠婚葬祭をはじめとして、家族一同が集まる機会に利用する方がいるそうです。
床の間や欄間、障子戸も昔のまま残されていてステキです。やっぱり日本人は、和室が落ち着きますね。
ちなみに障子なのですが、こちらの住宅で用いられているような、枠の細かい造りほど高級で、お金持ちの家に使われていたとのこと。
写真撮影も自由なので、結婚式の前撮りなどにも使われるほか、最近は『鬼滅の刃』などのコスプレをして写真を撮り合う方もいるとのことで、驚きました。
縁側からは、よく手入れされた美しい庭を眺めることができます。確かにこれは、写真映えしますね。
目で見て、触って実感!昔の暮らし
先ほどのいろりがあった玄関は、家人が通常利用する出入り口でしたが、こちらは、戸を開け放すと、直接和室に出入りできるようになっていて、お客様をお迎えするときに使っていた玄関なのだそうです。
外から見るとこのようになっています。
イメージでいうと、お籠にお客様が乗って担がれて来て、こちらから出入りしていたのではないかということでした。
まるで時代劇のようですが、実際に今でもこういった家が残っているのは驚きですね。
こちらの柱の傷は、なんと百姓一揆の傷跡だそうです!
当時、庄屋として栄えていた佐久間家に対し、贅沢な暮らしをしているのではないかと疑い、暮らし向きの貧しい農民たちが襲いに来たのだとか。
3箇所傷が残っているのですが、柱が太く頑丈で、のこぎりで切っても全く歯が立たず、退散したそうです。
「一揆」って、歴史の教科書でしか見たことがなかったのですが、こうして見ると本当にあったんだなと実感がわきます。
大勢の農民が突然、のこぎりを持って襲いに来た時は、さぞかし怖かったでしょうね。
趣向を凝らした催しも
見事な吊るし雛も飾られていました。よく見ると、鳥や亀、海老などさまざまなモチーフが一つ一つ丁寧に作られていて、とても華やかです。
吊るし雛の盛んな飯野町から先生がいらして、こちらの場所で作り方の教室を開いたり、作品の展示会も行われていたそうです。
他のイベントとしては、盆栽展やギターコンサート、ヨガ教室や怪談話会など、ユニークなものも行われています。
個人的には、怪談話がこちらの建物の雰囲気とどのようにマッチするのか、とても気になります!
イベントに参加するほか、一人でふらりと訪れて、日常を離れて風情に浸ってみたり、お子さんと一緒に歴史や昔の文化に触れるのも、とてもいい経験になると思います。
また、ハンドメイドや音楽など、趣味をお持ちの方は、ぜひ発表の場としても活用して、地域を盛り上げていただきたいですね。
今日はまた一つ、お気に入りの場所を発見できた気がして、とてもうれしい一日でした。次は友人を誘って、時間を忘れておしゃべりもいいなあと考えています。
旧佐久間邸
住所:福島県福島市佐倉下字加藤7-6
アクセス:福島西I.Cから車で5分 無料駐車場あり
JR福島駅から福島交通バス土船行き 老人福祉センター停留所から徒歩11分
TEL:024-546-3948
開館時間:午前9時から午後5時まで
休館日:年末年始(12月29日から1月3日まで)
利用料金:①見学無料
②専用使用するとき(要予約)
・基本使用料(和室1/和室2/和室3/調理室)
【午前9時~正午】1室400円
【午後1時~午後5時】1室500円
・調理台/かまど 1台1回200円