歴史にふれて人とつながる 郡山市小原田の「ちっちゃな美術館 こはらだ日和」

みなさんは美術館に行かれたりしますか?
美術館には絵画や造形物などさまざまな展示物があって、作品を観賞したり、話を聞いたり、いつもの日常に刺激を与えてくれる場所ですよね。

今回ご紹介する「ちっちゃな美術館 こはらだ日和」もそんな美術館です。

近・現代の美術作品に出会える場所でありながら、江戸時代からの歴史を感じられる美術館になっています。

近・現代の美術作品に出会える場所

「こはらだ日和」は、掛け軸を中心として、近・現代の美術作品が展示されています。
入口を入ってすぐの正面エリアには日本画・油絵などの絵画が展示されています。

廊下にも絵画が掛けられており、一つ一つ拝見しながら奥の展示室へと向かいます。
展示室には両側壁一面に掛けられた掛け軸と正面の大窓から見えるきれいなフラワーガーデンがありました。

掛け軸には、福島県出身の画家を中心とした作品とその時々の季節を感じられる作品が展示されており、私が訪ねた時には、春を感じられる花や鳥が描かれた作品が展示されていました。

そして、「大窓から見えるフラワーガーデンもぜひ一つの絵画としてみてほしい」と言われるほど、春の花や木々たちが本当にきれいなお庭がありました。

ライブラリ・カフェスペースでは、書籍や小原田の古地図などを閲覧でき、無料ドリンクも準備されているので、鑑賞後にゆっくりコーヒーをいただくのもいいかもしれません。

小原田の歴史を感じることができる

郡山駅前を通る大町・大槻線を南に少し行くと小原田地域に入ります。
この小原田地域は江戸時代には奥州街道の宿場町として栄えました。
現在は住宅が並ぶ市街地ですが、街をよく見ると道路のつくりや、立派な門構えの家、板塀のある旧家が見られたりと、当時の面影がところどころに見られます。

美術館前の道路も当時の面影が残っています。

道路は大きく曲がっていて、当時「桝形」と呼ばれる施設が設けられていました。

「桝形」とは直進できないように道路を左、または右に曲げ、土塁や柵で塀を築いた施設です。ここに番人をおいて、通行人を監視していたそうです。

館長さんの想いがつまった美術館

「こはらだ日和」は、江戸時代から続く古川家の当主でありながら館長でもある古川定和さんが創設された私設美術館です。

古川さんの「地域の皆様に親しんでもらい、未来を拓く子どもたちにも日本の伝統美にふれてほしい」という想いが込められています。

近くの中学校と交流があったり、美術館としてではなく趣味の集まりやイベント、発表会などのコミュニティスペースとしても利用されています。

地域に寄り添った美術館であり、地域にとって欠かせない存在になっています。

福島の木で作られた美術館

そして、展示物もすばらしいですが、もう一つ注目したいのが建物です。

美術館は福島県産の無垢の杉と天然素材で作られており、館内に入るとふわっと木の香りで包まれます。

釘を使わず、木と木を組み合わせて固定する「組子」と呼ばれる技法で建てられており、天井から床まで木のぬくもりが感じられる優しい雰囲気になっています。

今回、今まで知らなかった街の歴史を知ることができ、とても新鮮でした。
普段何気なく通っている道や立派な家だなぁなんて思っていた建物に歴史があることを再認識し、これから街を見る視点が変わりそうです。

地域の歴史を伝え、人たちのつながりの懸け橋を担う「こはらだ日和」さん。
小原田地域にお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。
今まで見てきた景色がちょっと変わって見えるかもしれません。

ちっちゃな美術館 こはらだ日和
住所:福島県郡山市小原田4丁目13番25号
アクセス:JR東北本線/水郡線「郡山駅」より車で約10分
電話:024-973-7615
営業時間:10:00~16:00
定休日:月曜・火曜日
駐車場:美術館前2台・裏9台

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。