検見川神社や子守神社など、さまざまな神社がある花見川区。なかでも今回ご紹介する昆陽神社には、少し変わった神様が祀られています。
場所は京成幕張駅から歩いてすぐ。改札を出て右に進むと、きれいな鳥居が見えてきます。
存在は知っていましたが、なかなか訪問する機会はなかったこの神社。はじめて足を踏み入れる場所は、やはりわくわくしますね!
専用の駐車場はありませんが、神社の隣にコインパーキングがあります。自動車でも問題なく利用できます。
民を飢えから救った人物の神社
ここで少しご説明しましょう。この昆陽神社は、江戸時代中期に甘藷(サツマイモ)の普及に尽力した「青木昆陽(あおきこんよう)」という人物をたたえて建てられた神社です。
当時の将軍・徳川吉宗は、自身に仕えていた儒学者・蘭学者の青木昆陽に、飢饉救済のための作物として甘藷の栽培を命じたそう。彼はいくつかの地域で試作を実施し、はじめて成功したのがここ幕張の地(馬加村・まくわりむら)だったといいます。
そして、この甘藷栽培は関東から全国へ普及。多くの人々を飢饉から救いました。そして青木昆陽の没後に起きた「天明の大飢饉」下でも、甘藷を栽培していたおかげで馬加村に餓死者は出なかったのだとか。この大きな功績をたたえ、青木昆陽は「芋神様」として祀られているのです。
敷地内には火の神様も!
敷地内に入ったところにある看板には、青木昆陽についての詳しい説明書きが掲示されていました。
そして、境内の景色がこちら。
社殿が2つ?と思いましたが、さきほどの説明書きを見ると、同じ敷地に火の神様を祀る「秋葉神社」もあるようです。向かって左側が秋葉神社、右側が昆陽神社です。
こちらが昆陽神社の社殿。お賽銭をして、しっかりお参りしてきました。
後で調べて分かったのですが、この神社は京成幕張駅の踏切閉鎖工事にともない、平成16年に建て直されたものだそうです。新しく見えたのもそのせいですね。
敷地自体はとても広いですが、社殿はそこまで大きくなく、派手でもありません。ですがとても静かで、どこか厳かな雰囲気があります。自分の住む街にこんな歴史が根付いていたとは驚きました。参拝できてよかったです!
歴史を感じる、サツマイモのふるさと
また神社の向かいには、実際の甘藷の試作地が残されています。現在は、千葉県の指定史跡として指定されているようです。
お店や住宅が並ぶところにぽつんとあるので、何も知らなければ気づかずに通過してしまいそう。しかし、しっかり柵で囲われ、大切に扱われていることがよくわかります。
慣れ親しんだこの地で栽培されたサツマイモが、全国の人々を飢えから救ったのだと思うと感慨深いですね。残念ながら中に入ることは叶いませんでしたが、奥には石碑が建っています。じっくり眺めながら、歴史に思いを馳せることができました。
昆陽神社を訪れたことで、自分の街の歴史をまた一つ知ることができました。普段は見落としてしまうようなところにこそ、新しい発見とその喜びがありますね。ぜひ近くに来た際は一度立ち寄り、はるか昔の偉人の足跡・その歴史を感じてみてください!
昆陽神社
住所:千葉県千葉市花見川区幕張町4丁目803
アクセス:京成千葉線「京成幕張駅」より徒歩1分