らくらく登山で絶景を独り占め!福島市のシンボル「吾妻小富士」

 福島市民なら誰もが知っている、標高1,707mの山「吾妻小富士」。

 早春、この山の残雪がうさぎの形に残ることから、「吾妻の雪うさぎ」としても有名で、昔の人々は、この雪うさぎが現れることで春の訪れを知り、種まきをはじめたそうです。

 雪うさぎは福島市の観光PRキャラクター「ももりん」のモチーフになるなど、今も昔も福島市民にとって身近な存在になっています。

 秋雨が続く中の貴重な晴れ間となったある日、久しぶりに吾妻小富士を訪れました。

ビジターセンターは要チェック!

 福島市街地から磐梯吾妻スカイラインと呼ばれる観光道路を通って、車で約1時間。標高1600mほどにある浄土平に到着です。

 ビジターセンターでは、周辺の登山道の注意点や、季節の花々や生き物などが、模型や写真、動画などを用いてわかりやすく展示してあります。

 はじめての方はもちろん、そうでない方も、こちらで当日の天候や、今どんな花が見られるかなどをチェックしてから散策すると、より楽しめるはず。

 それではいよいよ吾妻小富士に向かいます!

階段リニューアルで心も弾む♪

 吾妻小富士の頂上には、すり鉢状の大きな火口があり、その周りをぐるりと一周することができます。そして頂上までは、木製の階段の登山道を登って行くことになります。

 この階段、老朽化が進んでいたため、今年の5月から改修工事が行われていましたが、8月末に工事が完了!
 今回は、新しい階段を使って登ることができました。 
 

 完成したばかりのピカピカの階段!福島県産のカラマツが使われているとのこと。
 横幅も広く、登る人と降りる人がすれ違う時も、道を譲り合うことなく通ることができます。

 また、段差も緩やかでとても登りやすく、ご高齢の方や小さなお子さんでも注意しながら登ることができます。
 ここまで木材を運び、丁寧に作ってくれた工事の方々に感謝ですね。

 頂上まではわずか10分ほど。振り返ると、ビジターセンターがはるか下のほうに見えます。

絶景ポイントが次々と

 あっという間に頂上の火口壁に到着しました!
 恐る恐るすり鉢状の噴火口を覗くと、大迫力の眺め!

 風景を楽しんだ後、そのまま階段を降りていく人もいますが、せっかくなので一周してみました。

 火口壁の登山道は砂や小石が多く、若干傾斜になっているところは滑りやすいので、注意が必要です。スニーカーの人もいましたが、トレッキングシューズやストックがあればなお安心だと思います。また、標高が高いため、強風が拭くこともあるので要注意。

 ところどころに、噴火時に飛ばされたと思われるような岩があり、なかなか見られない神秘的な光景が広がっています。

 こちらのスポットは、荒々しい山肌と青い空、そして曲がりくねったスカイラインがなんとも言えない美しさで、カメラを構える人が何人もいました。

 天気が良かったので、スカイラインにはバイクを連ねるツーリングのグループも多く見られ、中にはなんと自転車(ロードバイク)で坂を登ってくる人も!

 3分の1ほど進むと、福島市が一望できます!

 この日は雲が下に見え、遠くまでくっきりときれいな風景が広がっていました。天候によっては安達太良連峰が見えることもあるようです。
 「すご〜い」とつい何度も口にしてしまう、いつまでも見ていたい眺め。

 一周の半分ほどの地点から登り口の方を見ると、噴火口の向こう側にそびえ立つのが一切経山です。

 この山は傾斜が急なところもあり、しっかりとした装備が必要ですが、山頂から見えるコバルトブルーの五色沼は息を飲む美しさなのです。まだ見たことがない方には、ぜひいつかチャレンジしてもらいたいですね。

 登り口近くまで戻ってくると、今度は左手に見えてくるのが桶沼という沼のある森です。グリーンのコントラストが美しく、まるで海外にいるような気分になります。

下山の後のお楽しみも

 一周はゆっくり歩いて40〜50分ほど。ほどよい疲れ具合です。

 下山した後は、レストハウスでお食事やソフトクリームなどの軽食をとることもできますし、お弁当を持参して、周辺のベンチや2階の無料休憩所で食べることもできます。

 無料休憩所には、なんと「山ピアノ」が!今流行りの誰でも自由に演奏することができるピアノです。

 室内はガラス張りで明るく、今登ってきた吾妻小富士や浄土平の湿原を眺めながら、ゆっくりと休むことができます。

 スカイラインの途中には、車を止められる展望スポットがいくつもあります。

 帰り道、「天狗の庭」と名付けられたビューポイントから吾妻小富士を望みました。これからの紅葉の季節は、色とりどりの木々がより一層美しく、心を掴むことと思います。

 山頂からは日常とはかけ離れた景色を堪能することができましたが、市街地から麓までは車で1時間とアクセスも良く、意外と気軽に行けてしまうんですよね。

 また、今回階段が新しくなったことで、より安全に登ることができ、これからも地元の人に愛される山となっていくことでしょう。

 あらためて、自然が豊かな福島に住んでいて良かったなぁと思った1日でした。

吾妻小富士
 住所:福島県福島市土湯温泉町鷲倉山浄土平地内
 アクセス:東北自動車道福島西ICまたは福島飯坂ICから車で約1時間
 駐車場利用料(一日):二輪車:200円
            普通車:500円
  ※福島駅からのバスは、新型コロナウイルスの影響のため、現在は通行見合わせ中とのことです。
  ※冬季はスカイラインが通行止めになります。

浄土平ビジターセンター
 TEL:0242-64-2105
 開館期間:4月上旬~11月中旬(冬季休業)
 開館時間:午前9時~午後4時
 入館料:無料

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。