師走ですね。今年もあっという間に秋が過ぎ去り、気がつけば冬の足音が近づいています。
スポーツの秋、芸術の秋、読書の秋…と、いろいろな楽しみ方がある中で、何もしていない自分に気づき、休日にウォーキングをすることにしました。
出会いは突然に
京成幕張駅から徒歩20分ほど歩いていると、国道14号の旧道沿いで「大須賀山の自然と文化財」と書かれた説明板を見つけました！
こんなところに名所があったっけ？と思いながら、説明板を斜め読み。
「標高15メートルほどの丘」「丘の中腹には大日堂」「江戸初期の五輪塔」というキーワードが目に入りました。
ふと、ゆく先を見渡すと、ちいさな森がありそうな景色。
「ここに？丘が？」 と驚きながら、引き込まれるように足を踏み入れます。
石段を上り始めると、すぐに荒馬紋蔵供養塔（あらうまもんぞうくようとう）とその説明板、首塚への案内板があらわれました。
荒馬紋蔵とは、江戸時代に名を馳せた幕張（当時は馬加村）出身の力士だそうです。
石段を上りきると、そこは更地。この辺りが大日堂跡地のようです。
さらに進むと、首塚への左折ポイントの案内板がありました。
案内板に従って左の道を見てみると、笹が生い茂る小道が目の前に広がり、足元には枯葉が敷き詰められていて、歩きにくそうな気配が漂っています。
日暮れが早まり、冬至も間近に迫るこの時期ですが、時刻はまだ11時を過ぎたばかり。
地元のはずなのに、知らぬ土地の登山道に足を踏み入れるような感覚で、無意識に日没の確認をしていました。
茂みを抜けると視界が広がりましたが、緩やかな上りが続いています。
まるで、初めて訪れた森の奥深さに心を奪われているかのようです。迷いと興奮が交差するのを感じます。
足元には色褪せた枯葉が敷き詰められ、何年も積もり続けているかのように、徐々に深くなっていく感覚があります。
生活音は一切消えて、シジュウカラかヤマガラか、辺りでけたたましく鳴いている鳥の鳴き声と、「カシャーッ、カシャーッ」と落ち葉を踏みしめる自分の足音だけが耳に入ってきます。
秋の終わりを告げる、どこか寂しさを帯びた大地の情景が深く心に沁み渡りました。
坂を上りきると、視界が一気に広がり、目の前にはこんもりとした丘があらわれ、その周りを大木たちが守っているかのように、そして優しく包み込むように立ち並んでいます。
ゆっくり近づくと、その丘の奥にひっそりと首塚が佇んでいるのが見えました。
この場所には、歴史を語り継ぐ不思議な力が宿っているようです。
さらに引き込まれるように石段を上り進んでいくと、高さ約3メートルほどの五輪塔が、静かにそこにありました。
静寂に佇む過去の記憶
馬加康胤（まくわり やすたね）の首塚は、幕張の歴史を感じさせる象徴的な場所です。
康胤は室町時代に千葉氏の重臣として活躍しましたが、その後、千葉宗家に反旗を翻し、最期を迎えたとされています。
彼の首はこの地に葬られ、五輪塔が立てられたと言われていますが、歴史的な記録には諸説あり、真実は不明な部分も多いようです。
この首塚の前で感じる静けさと歴史の重みは、自然の中に埋もれた過去を感じさせてくれました。
歴史が織りなす自然の風景
周辺の木々は生きていて、まるで何かを訴えているかのようです。
自然の中に埋もれた歴史が、静かな語り部となっているかのように感じられます。
初めて訪れたにもかかわらず、まるで昔からの知り合いに会ったかのような安堵感。
同時に、悲劇的な最期を迎えた彼の歴史が、静かに重く胸に迫ってくるようです。
この場所からは、言葉では表しきれない孤独、そして時代の流れに翻弄された運命が感じられ、心の奥深くに響くものがありました。
満喫派？ラクラク派？選べるルート
五輪塔の丘の裏手には、住宅街から直接入れる入口もありました。
自然との一体感をじっくり味わいたい方は旧国道14号側から、枯葉滑りのリスクを避けて首塚を見たい方は、住宅街からのアクセスをおススメします！
幕張駅から歩くと、JR、京成ともに20分程度かかりますが、旧国道14号沿いには路線バスも通っています。
JR海浜幕張駅⇔JR幕張本郷駅のルートで、運行は1時間に1本あるかないか、のようです。
自然が奏でる感動、大須賀山で心に残るひとときを
写真は、2024年辰年のフィナーレを飾る龍の姿にみえました。
大須賀山（堂の山）は、自然と歴史が共存し、ちょっと訪れるだけでも自然の感動が味わえる神秘的なスポットです。
ぜひ、訪れて心に残る体験をしてみてくださいね！
大須賀山（堂の山）
住所：千葉市花見川区幕張町1丁目4052
アクセス：
JR総武線「幕張駅」から徒歩約23分
京成電鉄千葉線「幕張駅」から徒歩約20分
JR総武線「幕張本郷駅」からバス(平和交通)「幕張町1丁目」下車すぐ
